桜が咲き始めました。
 こんなときでも桜は咲くんだ、と思いました。

 大学では入学式が行われたと卒業生から連絡を受けています。
 彼らは彼らなりの桜の花が記憶に残るのでしょう。
 明るい、さわやかな春の風に舞う桜吹雪が思い出に残るのでしょう。

 今、日本全体が大きな不安と深い悲しみのもと、「がんばろう」「助け合おう」というすごく前向きな
 気持ち、「負けない」という誇りのようなものがメディアなどを通して、ひしひしと伝わってきている
 ように感じます。

 日本全体がそのような中、私たちの学校も留学生を迎えます。
 彼らはさまざまな国の中から日本を選び、このような日本の状況下でも、「夢」「希望」「不安」さま
 ざまな気持ちを抱いて来日します。

 そんな学生を受け入れる私たちができること、それは安心感を与えることではないかと思っています。
 生活する上での安心感。
 日本語を学ぶ上での安心感。

これこそが今、一番大切なものなのではないか、と考えつつ、授業の準備、寮の準備を進めています。

 そして個人的にではありますが、私は授業で学生たちに「日本はこの震災で被害は甚大だったが、その
 後どういう対応をしたか」などを話したいと思っています。
 これこそ、日本という国を理解するいいきっかけになるのではないかと。

 今回、このような文章を書くつもりはありませんでした。本当は先週の土曜日に、
 『みんなの日本語』の執筆協力者である澤田幸子先生を招いて
 『日本語教師ブラッシュアップ研修会』を開きました。
 という報告をさせていただこうと思い、このページを開きましたが、いざ書きだしてみると、
 日本語学校という立場上、この震災からそれるわけにはいきませんでした。

 なぜか。
 私たちの仕事は日本語を教えるだけではなく、日本事情も教えるのですから。

 東日本の大震災だから西日本には関係ありません、
 ではなく、
 外国人にとっては東日本も西日本も同じ日本なのですから。

 だから私たちは安心感を与えられるようにしなければいけないと思います。また、震災が日本に与え
 た影響も伝えなければなりません。そして、復興にかける人々の情熱も伝えられるのではないでしょうか。

 今年の春は例年に比べ寒い気がします。
 そして
 私にとって、今年の桜は寒い風に吹かれても、凛として咲き誇る桜のように見えました。

 震災でご不幸に見舞われた方々へ、一日も早い復興と精神的安らぎの回復をお祈りします

 教務主任 前田勇次